池 小城小枝子
踏み出だす一歩の先は見えねどもかげろふの立つ初夏を歩かむ
不摂生を悔やみて池に来てみれば今を盛りの睡蓮に遇ふ
ぽんぽんと鼓打つがに蛙鳴く応へる声なく蜻蛉の舞ふ
空耳か水のほとりに聞こえくる鳥は語らふあやめに蓮に
この池は鴨らの天地咲き盛る黄色のあやめ初夏の日光る