石も木も目覚めてゐるか森にすむ太郎の笛が聞こえてきたり
毒草をはぐくむ森に竹の笛削りて太郎のひとりの暮らし
鳴き声の絶えた蛙を呼んでゐる太郎の笛かあはき虹たつ
一行のうたのかはりに雨あとの虹を太郎のもとへおくらむ
流氷に乗りてながされゆきし春カムイイェロキを少年は見き