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モノとはなにか        田中教子

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日本書紀には「大物主」と「大国主」は同一神だとされている。
ところが、古事記にはそのようなことは書いていない。
ややこしいことに、大国主と大物主は、「国」と「物」が違うが、なんとなく似ている。

さて、そこで「もの」とはなにか? というおはなしである。
「もの」については、現在までのところ、折口信夫の説が有力である。
折口信夫は、以下のようにいう。

 

「さて、日本の古代の信仰の方面では、かみ(神)と、おに(鬼)と、たま(霊)と、ものとの四つが、代表的なものであつた。」(折口信夫「鬼の話」)

 

これは折口信夫の「鬼の話」のなかの一節であるが、古代の日本の信仰には、「神・鬼・霊・物」という神霊的なものがあったと折口はいうのである。また、折口信夫「霊魂の話」 では、「もの」は次のように邪悪な方面のものという。

 

「即、たまに善悪の二方面があると考へるやうになつて、人間から見ての、善い部分が「神」になり、邪悪な方面が「もの」として考へられる様になつた。」(折口信夫「霊魂の話」)

 

このように、「神」と「もの」はもともとは同じもので、人間からみて善の部分を「神」とよび、邪悪な部分を「もの」と呼んだと考えられている。邪悪の例としては、「もののけ」の「もの」というのがそれである。

ところで、祟り神という呼び方をする人がいるが、祟りを専門とする神はいないらしい。
何かの事情で神が気分を害して祟ることはあっても、祟るのを専らとしているものはないという。

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