くしゃくしゃの風にかわいた時の穂がきらきら揺れる北半球に
運ばれる舟に抱かれて乗ったろうアブドラ・アイラン小さな膝は
黒山羊と白山羊並んでゆきし径シリアの爆ぜる丘のめぐりの
夜ふけて眠りのなかに降る雨のなんてさみしい脳にいるのか
わたくしを許しも裁きもなさらない千年座せる弥勒菩薩は
姑さまは何も召さずに鈴のごと限りのさまにものしたまうを
風うすき姑の肺あり秋さりてエノコロの穂はゆれてやまぬも
この道を文字になるまで歩きたい挿絵のなかのしずかな月夜
明け空を移りゆく声短くてほろんでしまうと啼いているのね
すじ雲の空いっぱいに見えている橋をわたって帰りたいけど