短歌とTANKA

空想植物園 5  拾う神あり         森垣 岳

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各地の農業高校では様々な取り組みを行っており、地域や大学、民間会社など様々な外部の力を生かしたものが多く見られます。

農業高校の大会で全国優勝した研究となると、非常に興味深い内容が多く、本年度の発表もまたおもしろい研究でしたので一つ紹介します。

野生の草花には植物に依存して生きている酵母菌があります。イースト菌や酒造に用いる酵母に比べると発酵する力は劣ってしまいますが、独特の香りを発生させるなど、一般的な酵母とはまた異なった力を持つものが見られるようです。

基本的に酵母による発酵は糖を分解してアルコールと二酸化炭素を発生させますが、ある植物から採取された酵母はなぜか発酵を行わず、変わったにおいを発生させていました。

他の菌である可能性も考えられたのですが、顕微鏡で観察すると明らかに酵母であることがわかります。いろいろと調べてみると、この酵母は体内に油を持つ変な酵母であることがわかりました。

さらに、この酵母はデンプンを与えると自分の体内に油を蓄えながら増殖していきます。本来酵母を使ってアルコールを生産する場合。デンプンはまずコウジ菌によって糖に分解しなければなりません。糖に分解された初めて酵母はアルコール発酵をすることができます。(つまり、元々糖分を多く含むフルーツなどであれば、果汁に含まれる糖を直接分解できるので発酵に必要な時間は短くなります。)

 

話は変わって現在、穀物の国際的な価格が上がっています。これは、食料以外にエネルギー資源として穀物が利用できるため、各国で争奪が発生しているのが原因のようです。

経済的にはそれでよいのかもしれませんが、本来食料として消費されるべき穀物が車を動かすために消費されるのは心地のよいものではありません。

一方、家畜のエサとして消費される穀物もあります。経済的に豊かになって、様々な食料を選べるようになると、おのずと肉の消費も上昇し、エサとなる穀物の需要も高まります。そんなエサとして消費される穀物は完全に消化されて排泄されるとは限りません。ニワトリであれば、2割は分解されずに排泄されてしまうのだそうです。

これをうまく集めて、先に述べた酵母を用いれば「食料」としての穀物を使わずに油を生産することができます。

そして、生産された油を集めて精製することができれば胸を張って「クリーン」だと言えるエネルギーを得ることができるかもしれません。

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