短歌とTANKA

  カストラート                大石真由香

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ヤモリの腹のぬめりのごとき午睡して持て余したる欲望のあり

 

プラトニック・ラブとは「欲求(エロス)とは何か思索すること」とプラトンにある

 

クリムトをみれば人とは神の手に裂かれし片割れ求むるならん

 

十三組のカップルが箱詰めされて展望台へと運ばれてゆく

 

歌舞伎町のラブホテル街を我一人歩きぬ朝の光の中を

 

雪の中傘を持たざるカップルが行き交ふ朝のラブホテル街

 

有性生殖始まりし日より生ける者に柵(しがら)みはあり『カストラート』を観る

 

声だけがその人格と言はれける去勢歌手(カストラート)は現代(このよ)にはなし

 

結婚とは赤の他人がまぐはひによつて繋がる関係ときく

 

冬の星座までの距離ほど孤独あり性愛めぐりいさかふ夜は

 

まぐはひを汚きものと思ひをるかと夫の言ふに我が胸痛し

 

五十六億七千万光年ほども離れてあるらん男と女は

 

運命のねぢれ(ヽヽヽ)を呪つたリナルドのやうに私を泣かせてください

 

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