短歌とTANKA

引き篭もり     喜多弘樹

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引き篭もるひと日群青。ひとしきり茜を吐きて冬樹燃やせり

 

めらめらと焚火のけぶりむらさきに北回帰線までいぶせや燻せ

 

つねくらき眼(まなこ)を開(あ)けてこの国のただよひ着けるところ雪ふる

 

ひらめける八尋の翼ゆつくりと地球の出まつ月の原野に

 

ひつそりと氷柱(つらら)となれる皇子(みこ)の血をけものも人も舐めて暮らしき

 

歳晩の寒き昼なりうつうつとわがたましひの鋳型をつくる

 

病み臥せし人のいたみに寄りそひてともにいたみをこらへてをりぬ

 

熊野灘その黒潮の猛きこゑ役(えん)の小角(をづぬ)もかつて聴きしか

 

結界にわが白骨の灰を盛り辞世のうたを日めくりてゐる

 

比叡(ひえ)の山仰ぎ見るなりいくたりの行者はそこに野垂れ死にけむ

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