短歌とTANKA

うすむらさきまでを              北原耀子

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ガンジーを語るをとこのこゑ柊の葉の尖触るる痛みのやうに

 

<北帰行>酔へば唄ひし亡父のこゑしずくしてをり闇の奥処に

 

ペガサスの大四辺形仰ぎみつ漂泊とふ一生われに在らざる

 

瓢湖とふ青のひとひら如月のなづきに浮かべ眠らむひとり

 

深海に沈みゆきたる鍵あらむレントゲン蒼き耳の画像に

 

薄明のうすむらさきまでを渉りゆく空中回廊ひとあやめたき

 

遠天にとはにかへらぬ破船ありひかり曳くごとこゑ雫れゐむ

 

百年が佇つてゐる春風に吹かれ荷風先生あゆみし路地に

 

春の天(そら)ひとをいつぱい雫すからポリスに置かむ大き皿

 

アナトリア半島吹く風いつかきみわれ果ててこゑ ゑまふ かな

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