高鳴れるものをひさしく零(こぼ)しきて梔子の花匂ひくる昼
万策の尽くれど人は生きるべし春星のごとおぼろおぼろに
狂ほしく荒き草ぐさかきわけて笹百合の蕊にわれ受粉せむ
なげやりのこと多くして博打狂治せぬやまひのみただしけれ
山が鳴る地が鳴る春の夕べなり世渡りべたの男居たりき
萎えてゆくものたましひも男根もこの世の快楽(けらく)呑みつくせしや
口づけをなしたることも遠ぞきて赤き火星をしんみり仰ぐ
男さびしく女さびしくありたれと風やはらかく語らひにけり
「ちちもみまへんか」」なつかしき声ありてホテル関西ありて