短歌とTANKA

嘘つきなレタス            田中教子

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青年となりし子のつく嘘ほどのあをいレタスの一葉をはぐ

路地の奥の孤島のやうな一軒に機械の声で鳴く鳥がゐる

まだうまく鳴けない雛ののみどから錆びた機械の音する四月

シーソーのきしみの音にカナリヤの雛が鳴きだす沈黙の家

ひな鳥は機械の音でないてをり夫婦喧嘩の終りしのちを

日想観見に来て拾つたライターでひとりしずかに地平を燃やす

落とし物の黒縁メガネをかけられた二宮金次郎と目があふ

浮遊する人や車や自転車が硝子のわたしの上をながれる

天才の足跡を追ふ旅の午後 頭の奥で蝉が鳴き出す

詩ごころの大統領の演説とそらおそろしいコーヒー色の雲

2024年4月
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