デジタル空想植物園3 不死身の妖精2 森垣岳
プラナリアという1センチ程度の生き物は比較的水のきれいな川に生息していますので、プラナリアが発見できれば川がきれいだと言えます。
逆に、汚れた水でも生息できるアメリカザリガニばかりが発見されれば水がきれいではないことがわかります。
このように環境が良いかどうかを判断する基準となる生物を「指標生物」と呼びます。専用の分析の機械や薬品を必要とせず簡単に環境を評価できる方法として広く知られています。
そんなきれいな水の指標生物であるプラナリアは細かく切っても各切片から個体として再生できるため、うまく飼育しているといくらでも増えていくそうです。再生する原理は前回示した通りですが、プラナリアを飼育すると彼らの「不死身なりのこだわり」が見られるそうなのです。
水質が良いことは当然ですが、彼らは住処にもこだわりがあり、自分の体より大きな石の裏側を好んで生息しています。神戸のある高校では様々な大きさの石や砂利を置いて実験した結果、石のサイズは大きければ大きいほど(限度もありましょうが)プラナリアは好んで集まってくるのだそうです。
光を避けるための選択として大きな石の裏側を選ぶので、暗黒状態では石の大きさに対するこだわりはなくなってしまうのだそうです。
さらに光りの種類も好き嫌いがあるようですが、まだはっきりと検証はされていません。プラナリアに光を当てて飼育していると、色が淡くなってしまうのだそうです。光そのものにプラナリアを白くする力があるのか、あるいは光を感じてプラナリアが白くなるのかがわかりません。これを調べるためにプラナリアを頭から順番に3つに切り分けたものに光を当てますと目のある切片のみ白くなったのだそうです。つまり、プラナリアは目(視力はほとんどありません、光の強弱と方向がなんとなくわかる程度と言われています)から光の情報を受けて体色の変化を起こしているのです。
しかし、不思議なことに屋外で取れるプラナリアに白い個体は見当たりませんので、どうやら人工的な光の影響で白くなってしまうようです。