短歌とTANKA

2月歌会詠草

  • HOME »
  • 2月歌会詠草

2月歌会詠草

 

あたたかい思い出おおくもつ幸は原稿用紙何枚かぶん

先生と撮ったバーゼル 違う街 先生無人私人入り        家永和治

 

「We can draw  from  your  photo」と紙貼りて絵かきが男(ひと)を甦らせる

青年僧が袈裟を連ねて歩みゆく古都チェンマイにオレンジの風    御厨慶子

 

半額のシール貼られたる寒ブリは高いか安いか一パック買う

想い出は金平糖のように哀しくて清らか手のひらに載る     日比野美鈴

 

今はなき靴脱ぎ石とちちとはは出迎えくるる夢のなかにて    田中教子

 

ユニクロのシャツでよかったあなたには割り勘以上求めていない

連絡はあまりとらない主義だけど事務的な「好き」送信します    佐藤史門

 

のぼることないだらうあの坂道は蒼白な灯に照らされてゐつ

グラウンドの靄のなかよりハードルを重ねて持ちて君はあらはる   楠誓英

 

若者が追いつめられて自らを閉ざし人間やめる日の本

この国に神はおわすか弱き者小さき者がしわよせをくう     田中みや子

 

柔らかき微笑を投掛け幸せに見ゆる人さへ刺虫(いらむし)を飼ふ

あの人も彼の人さへも緩やかに昇りたゆたふ天界飛翔        宮櫻天女

 

大寺の坂を下れば聞こえ来る明日も生きよと夕暮れの鐘      中田文花

 

我が心も焼けとばかりに冬の夜の空を焦がせる山焼きを見る

焼き果てて裸身となりたる若草の山よ今年は誰が心焼く      大石真由香

 

 

 

2024年4月
« 7月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  
PAGETOP
Copyright © NADUNOKI ナヅノキ なづのき All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.