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【短歌】   いにしへの道        御厨 慶子

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いにしへの道        御厨 慶子

 

胎内を巡れば灯りともされて美男と詠まれたみ仏恥ぢらふ

 

降りしきる羽をもがれた金色の葉よ  寺男容赦なく掃く

 

飛鳥寺の首塚謎も埋もれて手を合はせ問ふあなたはだあれ

 

前の世は飛鳥に暮らすか描かれしふくよかな身が裳裾を揺らす

 

青島の鬼の洗濯板わが内を剥がせば泥の塊のぞく

 

青島の風にサーファー魅せられて浜でべそかき待つ子が一人

 

天照大神隠れ給ひし祠今は樹々に埋もれ道も通はず

 

少年のまく乳ボーロ緑水に浮かびて鴨の戦場となる

 

思ひがけぬ力で鐘をつく老女煩悩失せろと札所に響く

 

年老いたひとり遍路が山門に腰折り深く頭(かうべ)をたれる

 

幽明の境へ続くか遍路道行き方しれずの三人(みたり)を探す

 

破魔矢売る巫女は教へ子そろばんをひたすらはじくちさき手浮かぶ

 

冬枯れの庭にタイムズの灯り漏れ街に漆黒の闇はもうない

 

ハイウェイを見れば夕陽のグラデーション玩具のごときトラックくるむ

 

隣人の自死せしホーム振り向けば夕陽こぼれて線路あたたむ

 

 

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