古代の神 森垣 岳
子どもの頃によく読んだ恐竜図鑑には、恐竜の背後に巨大なシダがたくさん生えている様子が描かれています。この図はあくまでも発掘の結果を反映しているだけにすぎないので、もしかすると、もっと様々な植物があったのかもしれません。
シダばかりしか生えていたという訳ではありません。化石として多くの植物が発見されており、一部のものは現在でも身近にみることができます。
そんな「生きた化石」たる植物の一種にメタセコイアという樹木があります。珍しいものではなく、大きな公園などに行くとごく普通に見られる樹木ですが、2000万年前ぐらいから生きていたと言われます。シーラカンスやゴキブリなど非常に少ない例を除いて、古代の生物は現代では到底見ることができません。では、なぜそんな古い時代から現代までメタセコイアという植物は種を維持できたのでしょうか。
このことに関して青森県の高校生が疑問に思い、研究を行っていたので紹介しておきます。
生物がうまく生き残るには、それなりに別の種類と違う「戦略」が必要になってきます。その戦略はどんなものなのかを観察や実験によって彼らは突き止めていきます。
①冬に落葉して果実がむき出しになる
これはスギやマツのように年中青い葉を茂らせている針葉樹と違い、メタセコイアは秋になると落葉します。そのため、風が吹くと木の中まで風が届き、大きく揺れて遠くに種を飛ばすことができます。
②落ち葉に抗菌成分が含まれる
若い葉に比べると、枯れて落ちていった葉には抗菌成分が多く含まれているそうです。これが秋になるとメタセコイアの足元にばらまかれ、土に含まれる病気の原因となるような雑菌から自分を守っているのだそうです。
③生き物によるバリアを持っている
幹の表面が普通の植物に比べると柔らかいので、表面に微生物をまとうことができるのだそうです。特に自分を守ってくれる菌がうまく広がると、それがコーティングとなって雑菌の侵入などを防ぐことができるのだそうです。
このように生き残るための戦略がうまく発揮されたからこそ、メタセコイアは驚くほどの長い時間、種を維持できたようです。