弓持ちて女が立てばわたつみの底のしづけさ、夜の電車は
足裏の傾斜のままに下りゆけば小さき漁港の油膜光りぬ
春の潮、をみなの指はただよへるテングサの紅すいと掬へり
利鎌もて稲刈るごとく海なかにざっくりと刈る海の草、草
海底の小さな地震に揺さぶられその色深むやももいろさんご
満月 あと幾夜ある、身を赤く透き通らせてユメナマコゆく