短歌とTANKA

ユメナマコ     吉野節子

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弓持ちて女が立てばわたつみの底のしづけさ、夜の電車は

足裏の傾斜のままに下りゆけば小さき漁港の油膜光りぬ

春寒き磯の口開け、海に入る女それぞれ化粧してをり

春の潮、をみなの指はただよへるテングサの紅すいと掬へり

利鎌もて稲刈るごとく海なかにざっくりと刈る海の草、草

海底の小さな地震に揺さぶられその色深むやももいろさんご

満月 あと幾夜ある、身を赤く透き通らせてユメナマコゆく

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