短歌とTANKA

途切れとぎれに      岩尾淳子

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お向かいの人が出てきて溝を掃くその後に出て我も清めむ

 

手ぼうきを動かす溝は浅からず汚泥のうえに浮かぶ落ち葉よ

 

きれぎれに時雨ながれる北側の窓の向こうに鳥居がひかる

 

あわくながく勤めきたりて何かある冬の野菜のあかるかりけり

 

この子たち膝を抱えて寒そうにセンター試験の話を聞くわ

 

かの国の古新聞に包まれてアレッポの石鹸もらいしころよ

 

十二月に溜まった段ボール箱を潰すなつかしいはずのない箱

 

帰り来て嗽する音ほろほろと途切れとぎれにあなたが分かる

 

僕たちはなんでこんなに分からぬと言わせてしまう悲しくなって

 

美術館が閉ざされるという風説がリアルな冬を生きてゆこうか

2024年4月
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