短歌とTANKA

熊野の神々           御厨慶子

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み熊野の神の遣ひの八咫烏(やたがらす)旅立ち見守るみ旗となりぬ

本宮の黒き尊き八咫ポストすべての色を身内に包む

重盛の手植えの梛(なぎ)の木神宿りしめ縄にかかる若葉艶めく

わがさだめつゆも知らずに実朝の詠みし梛の葉今もしだれて

たやすくは裂けぬ梛の葉忍ばせてをみな祈れりとこしへの愛

いにしへのをみな詣でし杣道を春色リュックの山ガールゆく

熊野灘をかもめ飛び発ち薄墨の翼かすめる有明の月

ひとけなき列車の窓のスクリーン橋杭岩のそそり立つ海

どうしてもちゃんとはまらぬ貝合はせ内には別の絵の橋架かる

四つ橋と土佐堀橋の描かれて二人の橋は近くて遠し

ひもじさに野良の子猫が硝子戸にピタリ張り付きとびきりの顔

引き出しに男眠れり板垣退助翁(たいすけおう)髭なびかせる百円紙幣

若者らスマホに見入り車窓には顧みられぬ碧き生駒嶺

2024年4月
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