空つぽの胸の覆ひに伏せてをく本よりふひに鳩が飛び立つ
靴なくし探してをれば大量の靴下もらふ夢のなかにて
恥かかぬやうにこつそり花束を誰とも言はず渡して帰る
新宿の空をおほへる灰色の雲に占ふ明日もあらむ
芥川死に追ひやりし眠剤を飲みて狂へる兄なり 鳩よ