短歌とTANKA

デジタル空想植物園3     森垣岳

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5月から6月にかけて、郊外を車で運転していますと黄色のコスモスのような花が中央分離帯や路側帯などに群がって花を広げているのに出くわします。場所によってはかなり広範囲に広がっており、運転中の私たちを和ませています。

それと同じ頃、田んぼなどが広がっている場所やため池などの見られる場所や、水の流れが緩やかな場所などを見ると、黄色の花ショウブが元気よく花を開いており、目に鮮やかに咲き誇っています。

秋になれば、線路沿いや川の土手などは絨毯を敷き詰めたようにセイタカアワダチソウが一斉に花を開き、金色の波となって通り過ぎる電車を見送っています。

 

さて、いずれも黄色の鮮やかな花々なですが、いずれも本来日本に生えていた草花ではありません。しかも3種類とも人間の手を借りずに自らの力で生きる力を身につけた草花です。一つ目のコスモスに似た花はオオキンケイギクと呼ばれる草花で明治時代に日本に渡ったとされる花ですが、繁殖力が旺盛でどこにでも根付いてしまうため、今では魚のブラックバスと同じ「特定外来種」と呼ばれるグループに加えられ、栽培や移動が禁止されています。運転中に見られる彼らの華やかな姿は誰かがわざわざ移植しているわけではなく、勝手に繁殖してしまっているのです。

とはいえ、ある日突然、自分の家の近くや庭に華やかな黄色の花が咲けば、ついつい大事に育ててしまうのが人情ではありますが、心を鬼にして処分しなければなりません。

そこまで悪者扱いではありませんが、普通のハナショウブに比べて大きくなる黄色のハナショウブ(キショウブ)やセイタカアワダチソウも外来種としてあまり積極的に栽培をしないように呼びかけられています。

 

ここで注目すべきは彼らがいずれも黄色い花を咲かせる点でしょう。日本で古くから栽培されている草花は白や水色など比較的落ち着いた色彩のものが多いです。たとえ、赤や黄色の花があったとしても、あまり主張するほど強い色彩のものはあまり見当たりません。

だからこそ、海外から持ち込まれた刺激的な黄色の花は日本人にとって魅力的に映ったのでしょう。それゆえに広く栽培されてしまった結果、日本の草花の生存が脅かされることになってしまったのでしょう。

 

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