短歌とTANKA

駅舎の記憶              大石真由香

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星ひとつ青くまたたき暮れかけたはつなつのそらにきみを想へり

 

傘とかさ色鮮やかに照りてあり重低音のひびく車内を

 

夕立のあとの駅舎に降るひかり どんなあなたでもあなたがすきだ

 

夏空の硝子の欠片 なにもないことをかくしてゐるのかきみは

 

「もう会はない」きみが最後に辛さうな顔して言つたこと想ひ出す

 

雨にほふ初夏の駅舎の夕まぐれ 忘れてね、つて言葉 重いよ

 

あなたからずつと遠くにゐたかつた 見つめれば月が大きくなりゆく

 

はつなつの駅舎の記憶 きみとあふ日はいつだつて雨あがりだつた

 

あぢさゐの青く燃えゐる雨の午後 抒情に作為のあるを哀しむ

 

まつぼつくりは空に向き立ちもうだれもわたしのことなど見てゐない夏

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